ヘルスケアビジネスの新戦略 ~加藤浩晃の頭の中~

未来の医療はどうになっていくのか、そして医師の未来はどうなるのか。AIやIoTなどの第4次産業革命のテクノロジーによって医療現場は『医療4.0』として大きく変わります。加藤浩晃が未来に向けて考えていることを書くブログです。

【予想】2018年遠隔診療に関する診療報酬改定の方向性

昨日もハードスケジュールながら楽しい1日で、ざっくり言うと

【午前】眼科診療 ⇒【午後】厚労省ベンチャー支援室 ⇒医療機器の薬事戦略 ⇒【夜】デジタルハリウッド大学大学院でのデジタルヘルスのゼミ

という1日でした!


デジタルヘルスのゼミではいつも外部講師の先生に来て頂いていているのですが、昨日もめちゃくちゃ勉強になりました!!


そして昨日はあわせて、自分も先日講演した日経デジタルヘルスの「遠隔診療セミナー」のセミナーリポートをしました。

セミナーリポートしながらコメントしていたんですが、

「2018年の遠隔診療の保険点数の方向性」ってだいたいなんとなく見えてきた気がしてきたので、それも話していて、せっかくなのでこのブログでも共有しようと思います!


2018年度の遠隔診療に関する診療報酬で今、議題に上がっているのはおそらく次の4点です。

①初診における遠隔診療の保険点数

②在宅における遠隔診療

③精神科の遠隔診療

④遠隔診療での生活習慣病の管理料

 

これについて、それぞれ予想をしていこうと思います!!

 

①初診における遠隔診療の保険点数

 

に関しては、2016年10月の規制改革会議の投資等WGだったり、今年2月の中医協の資料でも登場していましたが、

「遠隔診療で初診を行った場合であっても、初診料を算定できるケースについて、2年に1度の診療報酬の改定時期まで待たずに期中改定も含め検討し、速やかに適用すべき」

と書かれています。

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「期中改定も含め検討」ということで、期中改定するタイミングはあったのですが、約1年間改定がされていない。

これは初診の遠隔診療の保険点数がつくと「東京から北海道の人の遠隔診療ができる」という感じになり、診療圏の崩壊につながるからということが考えられると思います。

 

政府は「かかりつけ医」を推進していますが、そのかかりつけ医は「北海道に住んでいる人が東京にかかりつけ医がいる」というよりも、「直接顔が見える会える距離にところにかかりつけ医がいる」ということを推進していると思います。

 

あと④とも関連して、今回の2018年の診療報酬改定では点数がつかないかと思っています。

 

 

②在宅における遠隔診療

③精神科の遠隔診療

 

これに関しては、自分が「無」から考えているわけではなく、

昨年10月の未来投資会議での安倍首相の発言を受けて、当時の塩崎厚生労働大臣が、

「遠隔診療のエビデンスを収集したうえで2018年度改定での対応を検討していく」

と発言をしています。

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では、厚生労働省として遠隔診療のエビデンスの創出のために何をしているんだ!というと、遠隔診療のエビデンスをつくる研究への研究費です。

では研究費がどこに出ているのかというと、それが

②在宅における遠隔診療

③精神科の遠隔診療

になります。

 

②は厚生労働省の科学研究費から日本遠隔医療学会の酒巻先生を代表とする研究班に研究費が出ていて、そこでこれも学会の長谷川先生を中心として在宅医療に関する研究がされています。

 

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③は厚労省文科省経産省からの医学系研究の研究費を横串で一括しているAMEDの研究費として、遠隔医療学会の慶應大学の精神科の岸本先生に研究費が出ています。

 

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それで、予想なんですが、②の在宅は研究が終わったのですが、③はまだ現在進行系なので、おそらく10~11月くらいに行われる中医協での遠隔診療の議論に③はエビデンスが間に合わないんじゃないかと思っています。

 

なので、遠隔診療の点数がつくとしてもDtoNtoPの形で「②在宅における遠隔診療」だけなのではないかと思っています。

 

最後に

④遠隔診療での生活習慣病の管理料

 

についてですが、最初に結論を言うと、自分はこれは診療報酬としてつくと思っています!

診療報酬としてつく形としては、現在の「B001-3生活習慣病管理料」のような形で、

「患者の同意を得て遠隔診療計画を策定し、当該診療計画に基づき、生活習慣に関する診療管理を行った場合」

みたいな感じで

患者さんに事前に遠隔診療の計画を作って説明して、このような形で遠隔診療をしますよと同意してもらって遠隔診療をする

という形なら遠隔診療における誤解もないし、患者さんにしっかり説明して納得した人だけ遠隔診療ができるし、とても適切に遠隔診療が広がるのではないかと考えています!

生活習慣病療養計画書の遠隔診療版を作って同意してもらう感じです。
生活習慣病療養計画書よりは簡素なものだと思っています)

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このような形になるなら初診は対面して説明をしないといけないというところから導入されると思うので、これも合わせて①初診の遠隔診療の保険点数はないと思っています。

なにか予想というよりも自分の考えチックになってしまいましたが、

④遠隔診療での生活習慣病の管理料は「遠隔診療の診療計画」を作ることで点数が取れるのではないかと予想します! 以上をまとめると、現時点(2017年9月22日)での予想としては


②在宅における遠隔診療

④遠隔診療での生活習慣病の管理料

 

に2018年の改定で保険点数がつくのではないかと思っています! 10~11月になると中医協での議論がいよいよ盛り上がってきて見えてくると思うので、どうなっていくのかとても楽しみです!!!

 

(※あくまでも現時点における予想なので半分以上楽しみながらという感じでお願いします!)