ヘルスケアビジネスの新戦略 ~加藤浩晃の頭の中~

未来の医療はどうになっていくのか、そして医師の未来はどうなるのか。AIやIoTなどの第4次産業革命のテクノロジーによって医療現場は『医療4.0』として大きく変わります。加藤浩晃が未来に向けて考えていることを書くブログです。

2017年7月14日、遠隔診療の新たな通知が発出!適切な遠隔診療の推進とは?

未来の医療として、遠隔診療があるとは思いませんか?

 

遠隔診療はPCやスマホの画面を通して、直接会うことができない患者さんとリアルタイムにつながって診察することができる診療スタイルです。

f:id:HiroakiKato:20170718105837p:plain

元々遠隔診療は1997年(平成9年)に厚生労働省から通知が出て、直接会わなくても診察をしていいとされました。その後、その1997年(平成9年)の通知が2003年(平成15年)・2011年(平成23年)と改正されていました。

 

このような遠隔診療の変遷の中、2015年8月10日に医療業界で「遠隔診療が解禁された!」というニュースが踊りました。

「遠隔診療が解禁」という言葉だけ一人歩きをしていて、正しく解釈をされていない場合があるのでしっかり話をしたいと思います。

 

元々遠隔診療は1997年からしてもよく、しかし通知には「例示」と言うものも書かれていたため、通知に書かれていた疾患でしか遠隔診療はできないと考えられていました。

これが2015年8月に出た事務連絡では今までの遠隔診療についての考え方を「明確化」しただけのものだったのですが、「遠隔診療は例示のものに限らない」とも書かれていて、ここから「遠隔診療が例示以外のいろいろな疾患でもできる⇒解禁」というニュースとなったのでした。 

>遠隔診療の通知で挙げられていた例示

f:id:HiroakiKato:20170718110559p:plain

またここで再度、遠隔診療のスタンスとして、「遠隔診療は対面診療補うもの」とされており、遠隔診療は通常行っている外来診療や在宅診療では解決できていない診療の弱点を補うものとして捉えられています。

 

その後、遠隔診療に関しては、2016年3月の医事課長からの回答、2017年3月の規制改革推進会議 投資等WGでの厚労省側からの発言を踏まえた2017年5月の規制改革推進会議 第1次答申での記述などから、再度遠隔診療の明確化として通知が発出されることとされていました。

 

そしてその新しい通知が2017年7月14日に発出されました。

 

内容としては、また「今までの明確化」なのですが

 

1 離島へき地以外でも遠隔診療可能なこと

2 今までの遠隔診療を実施するものの例示以外でも遠隔診療可能なこと

 

という今までにも書かれていたことに加えて、

 

3 「保険者が実施する禁煙外来」に関しては柔軟に取り扱っても直ちに医師法違反ではないこと、直接の対面診療が結果的に行われなくても医師法違反にならないこと

4 電子メールなどであっても患者の心身への有用な情報が得られれば直ちに医師法違反ではないこと

 

という新しい明確化の内容も書かれていました。

 

>3「保険者が実施する禁煙外来」の記述f:id:HiroakiKato:20170718105630p:plain

 

自分は遠隔医療学会の人間なので、広くは遠隔診療の推進と言う立場をとっているのですが、何でもかんでも対面診療が遠隔診療に置き換えるというのは危険と考えています。

医療の質として遠隔診療と対面診療では明らかに対面診療のほうが質が高いのは現状では事実ですし、あくまでもそのときに患者さんの有用な情報が得られている場合に遠隔診療は行うものだと考えています。
 

今回の新たな通知では「禁煙治療」と言うところがだけが初診から完全遠隔診療でもいいと言うことですか、他の疾患にも今後行えるという解釈は出てくると思っています。

 

一部のクリニックでは「薬を配送する」ということ目的としているような遠隔診療クリニックが出てきていて心配しています。

なかなか通院できない患者さんの重症化を予防する、医療との接点を増やすという意味での遠隔診療はいいと思うのですが、東京から北海道や九州の人にAGAの薬やバイアグラを処方するという遠隔診療の使い方は個人的にはどうなのかと思っています。

 

今回の通知でまた遠隔診療の話題が出ると思うのですが、未来の医療のために適切に遠隔診療が推進されることを望んでいます。

 

2024年に医師余りの時代が来るかもしれない?!模索した記録を残すために。

はじめまして。眼科医をしている加藤浩晃といいます。
 
自分は卒業して10年間、眼科で手術をしたり外来をしたりして過ごしていました。
昨年、大学から厚生労働省に出向しないかと言われて、2016年4月から1年ちょっと厚生労働省に出向をしていました。
 
厚生労働省で自分の担当していた部署ではないんですか、広く資料に目を通していた時に、自分の記憶に残った資料が一つありました。それは何かと言うと、「医師の需給推計の結果について」という資料です。
 

f:id:HiroakiKato:20170718023448p:plain

 

これによると、医師の需要を3段階に見積もると、真ん中で推定をする場合は2024年ごろに、需要を大きく見積もった場合は2033年頃には需要より医師の供給が増えるということが書かれていました。
 
しかしこの医師の需給推定の結果については、今後当たり前になる人工知能や遠隔医療などや、様々なテクノロジーがもたらす医師の負担軽減については需給計算に考えられていませんでした。

人工知能や遠隔医療、そのようなものではなくても問診のICT化やちょっとした問い合わせのbot対応などテクノロジーの発展により医師をサポートするようなことが増えたら、医師の仕事は効率化できるわけであり、もっと早い時期に供給が需要を超えてしまうのではないかとも考えられます。

そんな時代、医師が余ってくるかもしれない2024年は、医師が臨床以外でも働く場面がでてきてても不思議ではないと考えています。

自分は眼科臨床は大好きなのですが、20年くらい上の先輩の医師が通って来たキャリア・成功事例は、今後の医師の将来、2024年くらいには役に立たないところも出てくるのではないかと考えています。
 
自分は2024年の医師の生き方を本気で考えてます。
 
この2017年に勝手に一人で2024年の医師の先生を始めて試行錯誤してみて、 臨床だけでない医師の働き方を模索し、経験した記録を残していこうと思っています。