ヘルスケアビジネスの新戦略 ~加藤浩晃の頭の中~

未来の医療はどうになっていくのか、そして医師の未来はどうなるのか。AIやIoTなどの第4次産業革命のテクノロジーによって医療現場は『医療4.0』として大きく変わります。加藤浩晃が未来に向けて考えていることを書くブログです。

【平成30年診療報酬改定】遠隔診療(オンライン診療)に関するまとめ!

1ヶ月ぶりのブログの更新になります。。

というのも、
先月の2月7日に中医協から厚生労働大臣への「平成30年度診療報酬改定の答申」が出されてから、

遠隔診療に関する診療報酬の算定要件に関して各行政を文字通り奔走していました!!

2月は本当に気づかないまま過ぎ去っていってしまったという感じで、
3月もすでに1週間たってしまっていてめちゃくちゃビックリしています。

今回、平成30年度診療報酬改定では
「オンライン診療料」「オンライン医学/在宅管理料」が新設されたのですが、
その算定要件が医療現場の実際をわかっていなかったり、遠隔診療を前進でなくて後退させるところもある内容でした。

この1ヶ月に渡って厚生労働省を始め、各所とより適切な遠隔診療の推進が行われるように診療報酬の要件など話(交渉??)をしてたのですが、
議論も続く中、この度3月5日に厚生労働省から告示が出されて、
「平成30年度診療報酬改定」が確定してしまいました。

まず自分の感想として一言でまとめると、

「慢性疾患の遠隔診療は半歩前進、慢性疾患でない疾患への遠隔診療は後退」

です。

もうすでに3月5日の診療報酬の発表以降、3/6&3/7と2回、遠隔診療に関する診療報酬の講演をしていて、
そこでのスライドを使って、遠隔診療部分に関して簡単にまとめようと思います!!
(時間がなくて、現在すでに深夜2時過ぎです・・)

ちなみに、遠隔診療を「オンライン診療」と呼ぶように別のガイドライン作成検討会で議論されていますが、このブログでは今回は馴染みのある遠隔診療というワードで書いていこうと思います!

では、今回の遠隔診療に関する改定として話すと、大きく3つが挙げられます!

①オンライン診療料
②オンライン医学管理料
③オンライン在宅管理料

 

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その中でも「①オンライン診療料」がポイントですので、しっかりまとめます。

算定のための要件として厚労省から出されている通知をまとめると次のような感じです。

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ざっくり言うと、4月からは
「オンライン診療料対象管理料」として挙げられた10の管理料

特定疾患療養管理料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、糖尿病透析予防指導管理料、地域包括診療料、認知症地域包括診療料、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料、精神科在宅患者支援管理料)

を算定しているいわゆる慢性疾患の人は、遠隔診療の対象になるということです。

今のはとてもざっくり表現で、
この10個あげられた管理料をとっている慢性疾患の患者さんの中で、実際どんな患者さんに遠隔診療ができるかというと、
そこに「管理料を算定してからの期間」「対面診療での受診頻度」が条件として乗っかります。


「管理料を算定してからの期間」「対面診療での受診頻度」はどのようなものかというと上記のスライドの(3)です。

当たり前(?)ですが、保険診療による遠隔診療は再診の患者さんが対象になります。

その中で、上記の10個の管理料を初めて算定した月から「6ヶ月以上」たっている必要があります。

考え方としては算定をしてから「6~12ヶ月」と「12ヶ月以上」で分類されて、

①算定した月から「6~12ヶ月」の場合は

オンライン診察をしようとする医師と同一の医師によって、算定開始から6ヶ月「毎月」対面診療を行っている必要があります。

②算定した月から「12ヶ月以上」の場合は

オンライン診察をしようとする医師と同一の医師によって、「直近 12ヶ月以内に6回以上対面診療」を行っている必要があります。

①もしくは②に該当する患者さんがいたら、
3ヶ月に1回は対面診療を行う(スライド(2))ような、
急病時の対応(4)も盛り込んだ遠隔診療の診療計画(1)を作って、
保険医療機関内(8)で、対面診療と同じ医師(6)が遠隔診療を行うことができるようになります。
薬を出す必要がある場合は処方をする(10)こともできます。

もちろん遠隔診療も通常の診療と同じですので、
カルテにその診察の内容、診察日、診察時間等の要点(5)を記載する必要があります。

さらにまだ定まっていなくて、今月(2018年3月)末に策定される
厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針」(7)
を守って遠隔診療は行われる必要があるということです。

今までは診療報酬として「再診料 72点」しか取れなくて、
診療報酬としては低かったですが、上記のようなルールなどはなく遠隔診療が行われてきました。
しかし、この4月からは遠隔診療を保険診療で行おうと思うと、
少なくとも上記の10個の管理料をとっている慢性疾患でしか行えず、
患者さんや医師としても算定の要件ができました。

今のことを逆から言うと、まだ厚労省からは明言がされていませんが、
上記の10の管理料を算定しないような疾患の人は遠隔診療が保険診療でできなくなるとなりそうです。

例えば自分の専門としている眼科などは、上記の管理料に当てはまらないので、
アレルギー性結膜炎の遠隔診療は今の「電話等再診」ではできていたのですが、今後遠隔診療はできなくなると思います。

それが冒頭に言った

「慢性疾患の遠隔診療は半歩前進、慢性疾患でない疾患への遠隔診療は後退」

という内容の心です。

眼科だけでなく皮膚科、耳鼻科などで遠隔診療が行われていた患者さんも
今行われている人は4月以降も経過措置があり遠隔診療の継続が可能なのですが
新しく4月からは始められなくなります。

皮膚疾患、眼疾患、耳鼻科疾患などをはじめ、管理料を取れない疾患でも
現状で「患者さんの全人的な治療」を考えるときに遠隔診療を選択肢としていれるとトータルの治療として有用な場面もありました。
しかし、今回の診療報酬改定はこのような管理料を算定されない慢性疾患でない疾患への遠隔診療は切り捨てられてしまっているので、手放しには喜べなく、後退している部分もあると言わざるをえない感じと思っています。


スライドに話を戻すと、今回とてもびっくりしたのが今までよく遠隔診療の際に使われていた「保険外併用療養費」の「予約料」がとれなくなったこと(11)が挙げられます。

予約料は今後、対面診療にのみ適応されるとのことです。

その代わりに、「療養の給付と直接関係ないサービス」として「診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用」としてとれる(12)ようになりました。

「療養の給付と直接関係ないサービス」の話をするとちょっと長くなってしまうのですが、これの有名なものとしては、インフルエンザの予防接種や入院したときのテレビのテレビカード代(1000円とか)が挙げられます。

インフルエンザの予防接種って普通の保険診療のクリニックで行われているのに、3500円とか実費でかかってきてなんで3割負担でないんだろうと疑問に思ったことはありませんか?

「療養の給付と直接関係ないサービス」は

”保険医療機関等において保険診療を行うに当たり、治療(看護)とは直接関連のない「サービス」又は「物」について、患者側からその費用を徴収する” 
制度とされています。

簡単に言うと診療と関係ないものに対して実費が取れる制度です。

4月からはこの枠として「診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用」をとってもいいよということ。

今まで予約料はピザ屋さんではないんですが、「30分を超えたら取ってはいけない」という縛りがあったのですが、今度からの「療養の給付と直接関係ないサービス」ではその縛りはなくなりました。

ただ、この制度上では基本的に「実費」が求められているので、今までの予約料であったような高額な価格を設定できるかどうかは疑問です。
どのような厚労省からの解釈が出されるのか今後待たれる話の一つになります!

(13)はレセプト請求するときに摘要欄に、該当する管理料の名称といつから算定開始したかを書いてねということです。

あと、施設基準として
保険診療クリニックで普通にやっていたらなかなか越えないですが、「オンライン診療の患者さんが再診全体の中で1割以下にすること」や「緊急時に30分以内に対応できる体制の整備」なども書かれています。

オンライン診療をしようとすると、4月以降は届け出が必要になりました。

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以上を厚労省の公開資料でまとまっているものではこのように書かれています。

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では次に、②の「オンライン医学管理料」ですが・・・というところで、文章を一気に書いていたら、すでに3000字オーバーでめちゃくちゃ長くなっていることに気が付きました。

「オンライン医学管理料」は本当にざっくり言うと、「オンライン診療料」を算定するときに100点も追加で取れるよという感じとまずは思って下さい!


厚労省の公開資料を添付します!

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本当に簡単過ぎる説明なのですが、
「オンライン医学管理料100点」は慢性疾患の遠隔診療をした時に今までの「再診料72点」が「オンライン診療料70点+オンライン医学管理料100点=170点」に約100点増えたよという感じです。

③のオンライン在宅管理料の話もすると、まずは厚労省の公開資料を添付します!

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これもざっくり簡単に言うと「オンライン在宅管理料100点」は訪問診療を行った日以外に同じ月で遠隔診療を行ったら100点取っていいよ
って感じです。


まずは簡単ですが平成30年診療報酬改定の遠隔診療(オンライン診療)に関するまとめを作成してみました!!

自分は眼科医なので、慢性疾患系の管理料を取れていることがほぼないので、4月以降に新規の遠隔診療を始められなくなるのが本当に痛い・・・

以上、このまとめがお役に立てれば幸いです!!!