【厚労省】2017年7月14日通知「遠隔医療について」の正しい内容
遠隔医療に関する新しい通知に関して正確さに疑問がある情報が世の中に出回ってしまっています。
「禁煙外来の完全遠隔診療解禁」とか「通知で初診から遠隔診療がOKになった」(これに関しては今までもOKです)とか。
間違った遠隔診療の通知内容に関して自分に山のように問い合わせが来ているので、今一度正しい情報を伝えます!!
○色々なメディアで遠隔診療のニュースが踊っているが・・・
(2017年7月19日14:00引用)
というか、自分が手に入れた2017年7月14日の「遠隔診療について」通知をシェアします。
このように今回の通知ではあくまでも昨日のブログに書いた
1 離島へき地以外でも遠隔診療可能なこと
2 今までの遠隔診療を実施するものの例示以外でも遠隔診療可能なこと
3 「保険者が実施する禁煙外来」に関しては柔軟に取り扱っても直ちに医師法違反ではないこと、直接の対面診療が結果的に行われなくても医師法違反にならないこと
4 電子メールなどであっても患者の心身への有用な情報が得られれば直ちに医師法違反ではないこと
が書かれていて、
禁煙外来の遠隔診療も完全遠隔診療可能ですが、あくまでも「保険者が実施する禁煙外来(自費診療)」であり、
健康保険による初診の遠隔診療の点数は今までから変わらず付いていないので、保険診療で初診から完全遠隔診療はできません!!
また、初診の遠隔診療に関しても今回の通知では全く触れられていません!!!
間違ったメディアの情報で流されずに「通知の原本」の確認をお願いします!!!
2017年7月14日、遠隔診療の新たな通知が発出!適切な遠隔診療の推進とは?
未来の医療として、遠隔診療があるとは思いませんか?
遠隔診療はPCやスマホの画面を通して、直接会うことができない患者さんとリアルタイムにつながって診察することができる診療スタイルです。
元々遠隔診療は1997年(平成9年)に厚生労働省から通知が出て、直接会わなくても診察をしていいとされました。その後、その1997年(平成9年)の通知が2003年(平成15年)・2011年(平成23年)と改正されていました。
このような遠隔診療の変遷の中、2015年8月10日に医療業界で「遠隔診療が解禁された!」というニュースが踊りました。
「遠隔診療が解禁」という言葉だけ一人歩きをしていて、正しく解釈をされていない場合があるのでしっかり話をしたいと思います。
元々遠隔診療は1997年からしてもよく、しかし通知には「例示」と言うものも書かれていたため、通知に書かれていた疾患でしか遠隔診療はできないと考えられていました。
これが2015年8月に出た事務連絡では今までの遠隔診療についての考え方を「明確化」しただけのものだったのですが、「遠隔診療は例示のものに限らない」とも書かれていて、ここから「遠隔診療が例示以外のいろいろな疾患でもできる⇒解禁」というニュースとなったのでした。
>遠隔診療の通知で挙げられていた例示
またここで再度、遠隔診療のスタンスとして、「遠隔診療は対面診療補うもの」とされており、遠隔診療は通常行っている外来診療や在宅診療では解決できていない診療の弱点を補うものとして捉えられています。
その後、遠隔診療に関しては、2016年3月の医事課長からの回答、2017年3月の規制改革推進会議 投資等WGでの厚労省側からの発言を踏まえた2017年5月の規制改革推進会議 第1次答申での記述などから、再度遠隔診療の明確化として通知が発出されることとされていました。
そしてその新しい通知が2017年7月14日に発出されました。
内容としては、また「今までの明確化」なのですが
1 離島へき地以外でも遠隔診療可能なこと
2 今までの遠隔診療を実施するものの例示以外でも遠隔診療可能なこと
という今までにも書かれていたことに加えて、
3 「保険者が実施する禁煙外来」に関しては柔軟に取り扱っても直ちに医師法違反ではないこと、直接の対面診療が結果的に行われなくても医師法違反にならないこと
4 電子メールなどであっても患者の心身への有用な情報が得られれば直ちに医師法違反ではないこと
という新しい明確化の内容も書かれていました。
>3「保険者が実施する禁煙外来」の記述
自分は遠隔医療学会の人間なので、広くは遠隔診療の推進と言う立場をとっているのですが、何でもかんでも対面診療が遠隔診療に置き換えるというのは危険と考えています。
医療の質として遠隔診療と対面診療では明らかに対面診療のほうが質が高いのは現状では事実ですし、あくまでもそのときに患者さんの有用な情報が得られている場合に遠隔診療は行うものだと考えています。
今回の新たな通知では「禁煙治療」と言うところがだけが初診から完全遠隔診療でもいいと言うことですか、他の疾患にも今後行えるという解釈は出てくると思っています。
一部のクリニックでは「薬を配送する」ということ目的としているような遠隔診療クリニックが出てきていて心配しています。
なかなか通院できない患者さんの重症化を予防する、医療との接点を増やすという意味での遠隔診療はいいと思うのですが、東京から北海道や九州の人にAGAの薬やバイアグラを処方するという遠隔診療の使い方は個人的にはどうなのかと思っています。
今回の通知でまた遠隔診療の話題が出ると思うのですが、未来の医療のために適切に遠隔診療が推進されることを望んでいます。
2024年に医師余りの時代が来るかもしれない?!模索した記録を残すために。
人工知能や遠隔医療、そのようなものではなくても問診のICT化やちょっとした問い合わせのbot対応などテクノロジーの発展により医師をサポートするようなことが増えたら、医師の仕事は効率化できるわけであり、もっと早い時期に供給が需要を超えてしまうのではないかとも考えられます。
そんな時代、医師が余ってくるかもしれない2024年は、医師が臨床以外でも働く場面がでてきてても不思議ではないと考えています。
自分は眼科臨床は大好きなのですが、20年くらい上の先輩の医師が通って来たキャリア・成功事例は、今後の医師の将来、2024年くらいには役に立たないところも出てくるのではないかと考えています。