ヘルスケアビジネスの新戦略 ~加藤浩晃の頭の中~

未来の医療はどうになっていくのか、そして医師の未来はどうなるのか。AIやIoTなどの第4次産業革命のテクノロジーによって医療現場は『医療4.0』として大きく変わります。加藤浩晃が未来に向けて考えていることを書くブログです。

医師+αが集まる飲み会で刺激をもらいました!!

今日はまた新しく集まったコミュニティの飲み会でした!!

 

医師ばっかりの6人が集まったのですが、びっくりすることに6人とも医師+αを楽しんでいるメンバーでした!

 

ある医師は海外旅行を楽しみながら日本にいるときにバイトを固めてやって、また海外旅行に行く生活。

ある医師は臨床医をしながら産業医のキャリアも高めていて、その他にベンチャーにも関わる生活。

 

ハイパーな医師に囲まれて、おいしい肉も食ってめちゃくちゃ刺激をもらいました!

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自分以外の5人の医師とも自分より若かったんですが、最近はフルタイムでない働き方をする医師も増えてきているそうです!

 

関西ではフルタイムでない働き方をしている医師は全員知り合いみたいな感じだったので、東京で流行ってきている流れなのかも。

 

次回は寿司会をやる予定です!! 

 

やってることや、やりたいことの言語化は大切ですね!

最近、「加藤先生はどこに向かっているのか?」って言われていることがめちゃくちゃ多いです。

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厚労省を辞めてから

デジタルハリウッド大学とかヘルスケアビジネスとかDMMサロンとか遠隔診療の講演とか人工知能の話とか医療ベンチャーの協会とか色々やってて、眼科医もやってるみたいだけど、結局どこに向かってるんですかと。

 

自分としては何らかか一貫してやってるのでブレたりはしてない感じだったんですが、そういう意見が出るということはやっていることが散らばって見えてるってことだし、ちゃんと言語化しないとと思っていました!

 

やっぱり本人はわかっていて良くっても、他の人に言葉として伝えられないとダメですね。

 

今回のタイへの出張で6時間のフライトがあって、強引に普段の生活から切り離されていたら、自分のビジョンを言語化できました!

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自分のやりたいこととしては大きく2つです!!


①目の健康な社会を作りたい!

 

元々自分は、「失明する人を1人でも減らしたい」という思いから眼科医になりました!

失明を減らしたいってところから、日本の中途失明原因の1位の「緑内障」を専門として臨床をやってます!

 

眼科医はとても大好きな仕事で、臨床だけでなく、教育や研究の3方向から目の健康な社会を実現したいって思っています!!

 

教育は眼科医だけでなく、眼科業界でない人に向けた教育が専門で、講演や研修だけでなく、レジデントノートの連載や本をたくさん出してるのもこの分野です。

研究は眼科の遠隔医療や人工知能、あと、眼科教育プログラム開発をやってます!

 

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そして、何やってるのかと思わせてる最大の原因はこの2つ目です!


②医療をよくしようとしている人や企業を手伝いたい!

 

自分はひょんなことから厚生労働省で働いて、自分が制度とか作ったり法律を作るのに関わったり、将来の医療の方向性を考えないとダメな状況に置かれて、半ば強引に医療制度や医療政策にくわしくなりました。

 

詳しくなるまでの過程は本当に大変で、それこそ厚生労働省では兼業規定で医師はやらなかったので、24時間365日官僚として医療制度や医療環境をよくすることだけを考えてました。

 

 

医療環境はまだまだよくなるし、そのためのベンチャーやプロジェクトとかはたくさんあるんですが、医療は「岩盤規制」って言われるように規制が多いです。

 

これっていいのではって思ってやってみても、実は何らかの規制に引っかかってるってことも大いにあります。

 

そのため医療をよくしようとしている人や企業に規制の多い医療業界で、医療制度や今後の医療の方向性(医療政策)などをわかりやすく伝えて、一緒に医療をよくすることをしたいってのが自分の2つ目のやりたいことです!

 

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この2つが自分のやりたいことで、なんだかんだ2つともいい感じになってきてて大変なこともたくさんですが、充実してます!

 

やっぱり言語化は必要ですね。

「何をやってるのか」ってところもですが、「この人は何を自分に提供できる人なのか」ってことも伝えることができますし。

 

よーし、また明日から頑張ろう!!!

 

 

タイのメディカルフェアに参加してきました!

ちょうど先ほどタイから帰ってきましたー!!

 

実は木曜日から1泊3日の強行日程でタイに行ってきました!

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目的の一つはタイの国際展示場みたいなところで開催されていたメディカルフェアです!

眼科の遠隔医療に使えるデバイスってないかなぁと探して来ました!!

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それで会場で見つけたのがこちら!

日本でもニデック社からVersacamとして販売されている手持ち眼底カメラです!

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この手持ち眼底カメラ自体は日本でも使われているんですが、日本ではまだ販売されていない新製品が2つ発表されていました!!

 

一つはこの「手持ち眼底カメラを支える台」で、もう一つはなんと「細隙灯アタッチメント」です!!

 

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支える台があることで、患者さんは顎を乗せて固定してもらえるし、撮影側は手ブレを抑えることができます!

また、細隙灯アタッチメントがあると、今まで撮影できなかった白内障などの病気を起こす水晶体の撮影ができます!!

 

早く日本でも取り扱いができるようにと思ってます!

 

あと、タイ自体も仕事の合間でタイ料理とか堪能して来ました!!

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最後に思い残すことがないようにフライト前もマンゴーとシンハビールを飲んできたり。

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このタイの出張で眼科の遠隔医療に役立つアイデアももらえて、めちゃくちゃ有意義でした!!

 

ちゃんと学んだことの還元をします!!!

 

【論文】 眼科遠隔医療での糖尿病性網膜症スクリーニング(Clin Ophthalmol. 2017 Aug 14)

 

実は最近あまり講演をしていないんですが、遠隔医療の中でもDtoD(医師と医師をつなげる)の遠隔医療が自分の研究テーマです!


ちょうど2年くらい前(2015年10月)に株式会社エクスメディオで

医師が眼科専門医に相談ができるDtoD診療支援サービスの『メミルちゃん(眼科コンサルト)』の開発をしました!

 

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厚生労働省の出向中は研究が止まってしまっていたのですが、最近やっと研究が再開できそうです。

 

ということで今回取り上げるのが、2017年8月14日にでたこの論文です!

 

Telemedicine for diabetic retinopathy screening using an ultra-widefield fundus camera. (Hussain N et al:Clin Ophthalmol. 2017 Aug 14)

 

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自分がやろうとしていたことの一つが厚労省の出向中にやられてしまっていた・・・

 

 

眼科の最新医療機器の一つでOptos200Tx という眼底カメラがあります。

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 これがめちゃくちゃすごい眼底カメラで、今までの眼底カメラは「眼底」の一部しか見ることができていなかったんですが、

Optos200Txはなんと眼科医が診察する眼底検査と同じくらいの範囲の眼底写真が撮れるんです!なので今までの眼底カメラと違って「超広角眼底カメラ」と言われています!!

 

今回の論文ではこの超広角眼底カメラのOptos200Txを使って糖尿病患者さんのスクリーニングをしようという論文です。

 

<今回の論文の結論>

アラブ首長国連邦の私立病院の内分泌科を2015年4月~2017年1月までに受診した1024人の糖尿病患者に対して看護師が超広角眼底カメラを撮影

⇒眼科医と遠隔医療を行って糖尿病網膜症をスクリーニング。

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・糖尿病網膜症の割合は9.27%(95人:165眼)

 

・糖尿病網膜症の内訳

       軽度の非増殖性糖尿病網膜症(NPDR):114眼(69.09%)

  中等度の非増殖性糖尿病網膜症(NPDR):32眼(19.39%)

       重篤な非増殖性糖尿病網膜症(NPDR):6眼(3.64%)

       増殖性糖尿病網膜症(PDR):13眼(7.88%)

 

<コメント>

この論文で行われている

「糖尿病の患者さんに対して超広角眼底カメラで眼底撮影⇒眼底写真を眼科医に送って糖尿病網膜症をスクリーニングする」

モデルは、本当に早く日本でも始めたいと思っています!

ただ、この超広角カメラOptos200Txが高いんです!定価で1台1500万円くらい。

眼底写真撮影が56点+広角眼底撮影加算で100点の156点(1560円)なので、

眼底カメラの元をとろうとすると1万人くらい写真を取らないといけないということでなかなか導入が進んでいません。。

 

超広角眼底カメラOptosを使ったDtoD眼科遠隔医療はまだまだ可能性があります!!!


今回の論文はこちら
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28860696

【論文】 田舎と都会の家庭医における遠隔診療の利用状況は?(Telemed J E Health. 2017 Aug 14)

遠隔診療に関する法整備など基本的な話は今までもこのブログでしていたんですが、

論文ベースの学術的な話って全くできていなかったなぁと思い、今回からブログで遠隔診療に関する最新論文に関してもコメントしていこうと思います!


医師は医学論文を探そうとすると「Pubmed」ってサイトでキーワードを入れて論文を探すのですが、せっかくなので「2017年8月1日~本日まで」の約1ヶ月で検索をしてみました!

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 検索結果は・・・「138件」

 

 

この中から選んだ今日の論文はこれです!

Rural Family Physicians Are Twice as Likely to Use Telehealth as Urban Family Physicians.

(Jetty A et al:Telemed J E Health. 2017 Aug 14)

 

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遠隔診療をする場面の話として、「都会」か「田舎」かと分類して話すことがあります。

 

「都会」では主に仕事に忙しいビジネスマンが対象で、通院が大変なのでその負担を減らすために遠隔診療を使うというイメージです。

一方「田舎」ではそもそも病院やクリニックなどの医療機関が遠かったり、通院時間がかかったりすることを解決するために遠隔診療が行われているというイメージです。

今回の論文では、アメリカにおける田舎と都会の家庭医の遠隔医療の利用に対する認識や使用頻度について評価をしています。 調査は5000名の家庭医を無作為サンプリングして行われていました。

<今回の論文の結果>

・アンケート実施は5000名の家庭医のうち31.3%。83%が都会で17%が田舎だった。

・田舎の家庭医は都会の家庭医と比較して遠隔診療を使用する可能性が2倍(22%対10%)

・田舎の家庭医は患者を専門の医師につなげる使い方をしていることが多かった。

・田舎の家庭医は診療の責任問題のために遠隔診療を行わないということは少ない

 

 <今回のまとめ>

遠隔診療は地方の患者さんが地元を離れずに専門家の診察を受けることも可能な診察方法です。

地方の医師にとっても、専門の医師が遠隔診療によって地方の患者さんを診察する場面を見ることで、今までは専門の医師に直接会わないと学べなかった「専門的な診察やその診察の考え方」を学べるいい機会になると思います!

 

 

今日取り上げた論文に興味を持った人はこちらから

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28805545

日本医療ベンチャー協会(JMVA)設立記念総会

本日は理事を拝命している日本医療ベンチャー協会(JMVA)の設立記念総会でした!

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厚生労働省からは大臣官房の椎葉審議官、
経済産業省からは、前ヘルスケア産業課長で今は内閣官房 健康医療戦略室次長も兼任している江崎政策統括調整官に来賓のご挨拶をして頂きました!!

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そのお偉い方々に混じって、自分は

「日本の医療ベンチャーの全体像」

という発表を!!!

 

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この日のために医療ベンチャーマップもアップデートしました!!

 

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150名を超えるベンチャーや企業の方に集まってもらって、協会として本当にすばらしい離陸となりました!!

 

この協会はもともと昨年から任意団体として始めていたもので、勉強会は計10回200社以上の企業に参加してもらっていました。
このような形になってとても感慨深いです!!

 

役立つ会&交流できる会にしていこうと思いますので、
引き続きよろしくお願い致します!!

一般社団法人 日本医療ベンチャー協会(JMVA)
http://jmva.or.jp/

慶應大学で臨床研究法と倫理指針の講演をしました!

昨日は慶應大学眼科教室の招待講演に呼ばれて、
「臨床研究を取り巻く環境の変化 〜人を対象とする医学系研究に関する倫理指針と臨床研究法~」
というタイトルで講演をさせて頂きました!
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実は、いわゆるこの「臨床研究倫理」と言われる分野も自分の専門なんです!


専門になった経緯は厚生労働省に出向していたときの所属が「医政局研究開発振興課」で、今回の講演内容の
・人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

・臨床研究法

の審議~成立に関わる仕事をずーっとしていて、むしろ制度を作る側として年がら年中勉強をしていたわけで、そのため結果的にとてもくわしくなったためです。

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に関しては、ちょうど今年の5月31日に施行された改正個人情報保護法のために、指針を改正する必要があり、とても大変な思いをして厚労省時代を過ごしていました。

今回の講演では、改正個人情報保護法で変更された「個人識別符号」や「匿名化」という用語、個人情報のトレーサビリティの確保や海外への提供の問題などが法律として改正して決まってしまっていたところに合わせて変えられた倫理指針という背景を説明しながら、一読では難しい倫理指針を簡単に噛み砕いて医師が必要なエッセンスだけ話をさせてもらいました!

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また、後半では来年の4月くらいから施行が予定されている「臨床研究法」に関しての最新の情報までを含めた話をさせて頂きました!
 

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 臨床研究法としては条文に書かれている内容はざっくり決まっていますが、これからよりくわしい内容として省令が出されることが見込まれていて、

8月2日には省令事項を決めていくための「厚生科学審議会 臨床研究部会」が発足し、第1回は超満員の傍聴者でした!

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臨床研究実施基準や実施計画書の記載事項、研究対象者への説明事項や今回の臨床研究法で定められた「特定臨床研究」という未承認・適応外薬を使用する臨床研究や製薬企業等から資金援助をもらった臨床研究を審査できる「認定臨床研究審査委員会」に倫理委員会がなるための要件などは今後この部会で内容が詰められていきます。

今わかっていることや「製薬企業から資金援助をしてもらった観察研究は入らないのか」とかっていう質問をしっかり整理して講演させてもらいました!

何よりも講演に参加してくれた先生方から「今までで一番わかりやすかった」と言ってもらえてなにより。

 

今後もぼちぼち大学から呼ばれて「臨床研究倫理」の講演も控えてるのでバージョンアップし続けます!!