ヘルスケアビジネスの新戦略 ~加藤浩晃の頭の中~

未来の医療はどうになっていくのか、そして医師の未来はどうなるのか。AIやIoTなどの第4次産業革命のテクノロジーによって医療現場は『医療4.0』として大きく変わります。加藤浩晃が未来に向けて考えていることを書くブログです。

慶應大学で臨床研究法と倫理指針の講演をしました!

昨日は慶應大学眼科教室の招待講演に呼ばれて、
「臨床研究を取り巻く環境の変化 〜人を対象とする医学系研究に関する倫理指針と臨床研究法~」
というタイトルで講演をさせて頂きました!
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実は、いわゆるこの「臨床研究倫理」と言われる分野も自分の専門なんです!


専門になった経緯は厚生労働省に出向していたときの所属が「医政局研究開発振興課」で、今回の講演内容の
・人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

・臨床研究法

の審議~成立に関わる仕事をずーっとしていて、むしろ制度を作る側として年がら年中勉強をしていたわけで、そのため結果的にとてもくわしくなったためです。

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に関しては、ちょうど今年の5月31日に施行された改正個人情報保護法のために、指針を改正する必要があり、とても大変な思いをして厚労省時代を過ごしていました。

今回の講演では、改正個人情報保護法で変更された「個人識別符号」や「匿名化」という用語、個人情報のトレーサビリティの確保や海外への提供の問題などが法律として改正して決まってしまっていたところに合わせて変えられた倫理指針という背景を説明しながら、一読では難しい倫理指針を簡単に噛み砕いて医師が必要なエッセンスだけ話をさせてもらいました!

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また、後半では来年の4月くらいから施行が予定されている「臨床研究法」に関しての最新の情報までを含めた話をさせて頂きました!
 

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 臨床研究法としては条文に書かれている内容はざっくり決まっていますが、これからよりくわしい内容として省令が出されることが見込まれていて、

8月2日には省令事項を決めていくための「厚生科学審議会 臨床研究部会」が発足し、第1回は超満員の傍聴者でした!

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臨床研究実施基準や実施計画書の記載事項、研究対象者への説明事項や今回の臨床研究法で定められた「特定臨床研究」という未承認・適応外薬を使用する臨床研究や製薬企業等から資金援助をもらった臨床研究を審査できる「認定臨床研究審査委員会」に倫理委員会がなるための要件などは今後この部会で内容が詰められていきます。

今わかっていることや「製薬企業から資金援助をしてもらった観察研究は入らないのか」とかっていう質問をしっかり整理して講演させてもらいました!

何よりも講演に参加してくれた先生方から「今までで一番わかりやすかった」と言ってもらえてなにより。

 

今後もぼちぼち大学から呼ばれて「臨床研究倫理」の講演も控えてるのでバージョンアップし続けます!!

 

UMLで人工知能のセッションに登壇しました!

昨日はアンター株式会社が主催するUMLというイベントの人工知能のセッションで登壇させてもらいました!

 

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アンター株式会社は起業前から仲良くしている整形外科医の中山俊先生が代表取締役をしていて、IBMのワトソンを使用して医師の疑問解決ツール「Antaa QA」と、医療者のスライド共有サービス「 Antaa Slide 」の2つのサービスを提供している会社です。

antaa.jp

 
で、UMLは何かというと、United Medical Leardersの略で、
簡単に言うと「同世代の医師で集まろう!」的な会です。

当日は、デジタルハリウッド大学が会場を提供して、
会場に120名近くの若手の医師や医学生が集まりました!

 

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そこで、「人工知能の医療応用」というセッションのパネルディスカッションに登壇したのですが、他の登壇者は上述の
・アンター株式会社代表取締役 中山俊先生

・医師・情報学者 沖山翔先生
でした。

沖山先生とは実はこの時が初対面で、自分が勝手に持っていたイメージと違ってとてもマイルドな先生でした!!(メドレーでバリバリやられていたときの印象が強かったからかも。)

 

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パネルディスカッションとしては、それぞれの診療科でどのような形で人工知能が入ってくるのかという話から始まって、会場の人たちと2025年くらいにどのような医療現場の景色になっているかのイメージを共有してもらおうという主旨で自分は話していました。

 

このブログでも以前に書いたAI活用の政府のロードマップの話とかをして。

 


20~30分の登壇で3人で話すのであんまり一人分の時間はなかったけど、登壇者同士はとても楽しくあっという間の時間でした。

もっと時間があれば深い話にももって行けたかもなので、それは次回にまた登壇するときに!!

メドピア株式会社の石見社長と対談させてもらいました!

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未来の医師の働き方ってどうなるのかなぁと最近めちゃくちゃ考えてます。

 

このブログのタイトルで過去に記事にもしたように、2024年には医師の需給が逆転して、医師余りの時代が来るかもしれない。

その時に医師って、当然一番は臨床なのですが、その他にも色々な分野に関わっていくのではないかと思っています。

 

海外では医師免許を持ってて、製薬企業や保険会社に就職していたりもするし、自分が出向していた厚生労働省のように行政に関わる人ももっと増えるかもしれない。

 

そんな未来を思い描いているんですが、

そんな未来の医師の働き方の1つとして、臨床だけでない病院の外での社会を健康にする視点もあるといいと思っていて、

予防から医療から介護までのヘルスケアを、プロジェクトの持続性というビジネスの観点で考える「ヘルスケアビジネス」に興味を持っています。

 

何よりも自分が「ヘルスケアビジネス」を勉強できる機会がほしいってことで、

ご縁も重なって、7月からDMMで「ヘルスケアビジネス研究会」というお互いで学びあうオンラインサロンを始めています!

 

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ヘルスケアビジネス研究会(予防・健康、医療、介護)

https://lounge.dmm.com/detail/504/

 

7月に最初20人から始まって、1ヶ月半で今は第4期、計80人のメンバーとともに一緒に勉強をしています。

そして、7月も2回サロン内での勉強会はしていたのですが、昨日は新たな企画として、ゲストを呼んだサロンイベントを開催しました!

 

8月サロンイベントとして、第1回のテーマは

「ヘルスケア上場企業の先輩起業家から学びたい!」と勝手に決めて、

ゲストは医師であり起業家で、創業したメドピア株式会社を東証マザーズに上場させた社長でもある石見陽先生に来て頂きました!

 

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石見先生と対談形式で話をしながらつどつどで質問をさせてもらって、

メドピアの創業期の話から、最近M&Aでメドピアグループに入った遠隔医療相談の株式会社Mediplatや栄養士相談(Diet Plus)の株式会社フィッツプラスと今後のメドピアの展開まで幅広く、かつ、かなり深掘りして聞かせて頂きました!

 

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石見先生から昨日聞いて一番心に残ったのは、

メドピアの会員が7300人くらいになるまで、

実際に5000人くらいは石見先生自身が5年間、週末の土日に学会場に行って一人一人メドピアの創業の想いと解決したいことを医師に話して共感してもらって会員を増やしてたということです。

 

メドピア株式会社ってWebの会社というイメージだったので、表現として適切でないかもですが、石見先生自身が泥くさく会員を増やすことをしていたことが衝撃で、事業として行う際の気持ちを学びました。

 

その他にもヘルスケアビジネスのアイデアを出す方法や事業の撤退の考えなど、ヘルスケアビジネスを行う際のキモとなるような学びがありまくりでした!

 

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 (会場はDMM本社でFacebook Liveでも同時中継!)

 

イベントの後は懇親会だったのですが、まさかな感じで石見先生も懇親会に参加して下さって

かなり個別な話もさせてもらい、自分としてイベントは大満足でした!!

 

次回はまた来月、ゲストを呼んでイベントをやり引き続き大いに学ぼうと思います!!

 

眼科未来『予報』。人工知能がある医療現場の未来とは?

 

今週末はお茶の水のソラシティで行われた眼科の勉強会で、人工知能のセッションに呼ばれて講演をさせて頂きました!

「第2回 眼科・形成外科仮想ライブサージェリー&セミナー」という勉強会です。

(注:ポスターには遊び心がありますが、全国から開業医を中心にバリバリの眼科医が集まっているとても活発な刺激的な会です!)

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会場となったソラシティは客員教授をしているデジタルハリウッド大学院があるところで、場所としては思いっきりホームなのですが、足を踏み入れたことのなかった2階のカンファレンスセンターが講演会場でした。

今回の勉強会の企画の先生から気軽な感じで講演してって言われてOKしたものの、
会場に行ってみたら600人まで入る大会場で、まさに聞いてないよといった感じのサイズ感で多くの先生方が全国から来られていました!

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(講演の開始前。でかいスクリーンが2つもあってそのサイズ感を推し量れると思います。)

今回の講演のタイトルとしては

「眼科未来予報 ~人工知能のある未来の眼科医療~」

ということでシャレたタイトルで話をさせてもらったのですが、

こだわったのが未来予測ではなく未来『予報』というところです。

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そして「未来」というワードも曲者で、20年や50年先の話をするのではなく、

参加されている方もきっと今のままバリバリ生活をしている

5年後の2022年くらいの話をしてきました!

 

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そして、スライドにも書いたのですが、その未来「予報」は国の検討会などの公開資料を見ればわかりますよと。


自分が厚生労働省にいたときも検討会の事務局をしたりしたのですが、

国が検討会をやるとなると、日本中からその分野の専門家をとても豪華に呼び集めて、

企業がそれだけの専門家を集めたらコンサルタント代にどれだけ費用がかかるんだ!

という英知が結集されているのが検討会とか審議会の資料なので、これを利用しない手はありません。

今回は今年6月にまとまった

「健康医療分野におけるAI活用推進懇談会 報告書」

を中心に、各省庁のAI検討会資料を参考にしながら講演をさせて頂きました。


今回の講演のメインのスライドがこのロードマップです!!

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これを見ると、ざっくり医療分野では左の方に書かれている6分野で人工知能の活用が考えられています!
「ゲノム医療」「画像診断支援」「診断・治療支援」「医薬品開発」「介護・認知症」「手術支援」の6分野です。
そしてスライドの上にはそれぞれの期間の目安が書かれています。

これを見ればわかるように、AIを活用した「診断・治療支援」では
2022年頃には「頻度の高い疾患」だけでなく「比較的まれな疾患」まで実用化がされます。

AIを活用した「診断・治療支援」というのは、診察時に医師が患者の症状や所見などのキーワードを入力すると、AIが候補疾患名を打ち返すプログラムというイメージでいいかと思います。

また、AIを活用した「画像診断支援」に関しても2022年には開発がされています。

特に眼科では画像診断が多く行われているので、この部分をピックアップすると次のスライドです。

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ということで、眼底写真だけでなく、OCT画像や前眼部写真も

AIを活用した「画像診断支援」の対象となっており、

今後学会を中心にデータベース構築をすることの必要性が求められています。

そして、AIできる医療画像の自動診断はダブルチェックのために使われて、見落とし率の低下をねらっています。

 

今回の講演のメインは紛れもなくロードマップで、

人工知能はこのロードマップに従って、段階を踏んで必ず医療現場に入っていきます。

医療現場で働いている方にこそ、このような未来予報を知ってもらって、

一緒に将来の医療の形や医師の働き方を考えたいと思っています。

7月29日の朝日新聞に遠隔診療のコメントを掲載して頂きました。

 

遠隔診療の正しい啓発と適正推進のために、出来る限りメディアには協力をさせて頂いています。

 

「遠隔医療」や「遠隔診療」ってググると、色々な記事が書かれていて、

それを当然読まれてからメディアの方も問い合わせいただくのですが、

前提で読まれたウェブの記事が間違っていたりして、最初から説明させて頂くことも多いです。

今週、「その記事の内容が間違っているんですよ」って何回言ったものか。。。

前置きが長くなってしまったのですが、7月29日の朝日新聞で遠隔診療の特集をしてくださり、コメントを取り上げて頂きました。

 

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自分がコメントしたところは以下の部分です。

ただ、普及の一方で、「遠隔診療は、あくまでも対面診療の補完だという原則が置き去りにされているような場面がある」と関連学会で遠隔診療のモデル研究会を率いる京都府医大の加藤浩晃特任助教(36)は懸念する。実際、ルールの範囲内だが、処方薬のネット販売が目的かのような遠隔診療に特化した診療所も登場している。
 「ただ、対面診療だけでは医療を受ける機会が限られる人がいるのは事実。遠隔診療は、そこを解決するために医師が持つ新しい『引き出し』の一つだという理解が正しく広まればいいのですが」と加藤さん。

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引き続きこのようにメディアで機会をもらえたら、適正な遠隔診療の推進のため積極的に発言していこうと思っています。

 

今回は朝日新聞の方、本当にありがとうございました!!

耳鼻科でできる遠隔診療とは? 仲良しの耳鼻科専門医とLINEで議論した!

先日、仲良しの耳鼻科専門医と耳鼻科でできる遠隔診療について議論をしました。

遠隔診療の本題に移る前にまず、自分は遠隔診療の話の前提として3つの共通理解が必要だと思っています。

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ざっくり言うと、遠隔診療と対面診療とどっちがいいとかって話はナンセンスで、

当然医療の質としては現時点ではもちろん対面診療がいい。

 

ただし遠隔診療は、現在の対面診療だけの外来診療のスタイルで弱かった、

・遠方でなかなか来れない患者さん
・仕事が忙しくて自己中断する患者さん

などに対して、医療との接点を作れるので重症化予防になるという点で価値がある

と思っています。


では、耳鼻科専門医と遠隔診療に関してどのような話をしたのか?

LINE相手の耳鼻科医から掲載OKをもらったので、LINEをそのまま載せてみます!

まず、自分から

「耳鼻科でどんな遠隔診療ができる?」

という問いかけをしてLINEが始まっています。

 

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自分としてはこのLINEでのやり取りを通して

バリバリ最前線で臨床をしている医師と、

遠隔診療に関わっている自分で思いは一緒なんだって再確認できました。 

「患者さんに医療を提供する手段」、「医師としての診療の引き出し」として

遠隔診療を捉えてもらえたらと思っています。 

医療✕テクノロジーの未来について話した動画が公開されました!

 

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先月に開かれたG1ベンチャーのセッション

「テクノロジーが実現する医療イノベーション」で

モデレーターをさせてもらった動画が公開されました!

 

今をときめくヘルスケアビジネス企業の代表の

 株式会社メドレー 豊田剛一郎先生
 MRT株式会社 馬場稔正社長
 
株式会社情報医療 原聖吾先生

のお三方とともに登壇をさせて頂いたのですが、

お三方とは普段からとても仲良くさせてもらっていたので、飲み会の延長(?)みたいな感じでフランクに質問をさせてもらっていました。

 

とは言いながらもちゃんとモデレーターの仕事はしていて、

・なぜ医療現場はテクノロジー化が進んでいかないか
・医療分野にテクノロジーを入れていくにはどのようにすればいいか
・ヘルスケアビジネス領域は医療者でないと参入できないか
・ヘルスケアビジネス領域への参入障壁は昔に比べて下がってきているか?

などの質問をして答えてもらっています!

 

当日の参加者が医療系の業界の人だけではなかったので、

医療系の業界の現状と大局観を理解してもらうために最初3分くらいは導入で話をさせてもらっています。

(業界の人は知っている話なので心置きなく3分くらい早送りして下さい。)

 

自分自身とても勉強になる時間だったので、

お時間がある人はぜひとも見て感想を教えて下さい!

   
<G1ベンチャー>テクノロジーが実現する「医療イノベーション
~豊田剛一郎×馬場稔正×原聖吾×加藤浩晃
http://globis.jp/article/5576

globis.jp